ヴァンパイヤ・ブラッド・6

 

ピンポーン

「いらっしゃい大輔君」

「お・・おう」

 

大輔は家から帰って、ランドセルを置くと、タケルの家を訪れた。あの後、タケルに「大輔君、じゃあ、僕と今日遊んでくれる?」と言われ、タケルに対して負い目のある大輔が断れる筈も無く、タケルの家を訪れた。

 

大輔もタケルの誘いは嫌では無かったのだが、素直にタケルと遊ぶという事が癪に障り、宿題でも手伝わせようと思い、今日出された宿題のプリントを持ってくる。タケルは大輔の手にあるプリントを見て、すぐに大輔の狙いが分り、二人で仲良く宿題をする事にしたのだが、タケルは自分の宿題を手早く終わらせるが、大輔は中々進まず、先ほどから頭をガリガリと掻いていた。

「ああぁ〜、もう分んねぇ〜よ、こんなのっ!」

「大輔君落ち着いて、説明するからさ」

タケルに宥められて、再びプリントと向き合い、四苦八苦するが、タケルの説明を聞きながら、問題をやると、すらすらと解けてしまい、すぐに片付いてしまった。

 

宿題を終えて少しすると、玄関の扉が開く音がして、誰かが帰って来たらしく

「ちょっと待ってて」

タケルが部屋を出て行くが、すぐに一人の人物を連れて帰って来た。

「大輔君、紹介するね、僕のお兄ちゃん」

「あっ、えっと、お、お邪魔します。」

「おう」

紹介された人物に対し、緊張気味に挨拶する大輔に、やや強めの口元に小さく笑みを浮かべて、返事をしてくるタケルの兄

 

笑顔で紹介兄を紹介するタケル、紹介されたタケルの兄は、タケルと同じく髪の毛は綺麗な金髪で、優しい顔付きで異性の注目を集めるタケルとは違い、悪く言うと冷たい感じだが、きっと、そのクールな外見で、タケル同様に異性にモテル格好良い顔付きの男だった。

 

それから、タケルとは他愛の無い話をして、過している内に、夕方も過ぎようという時間にまでなっていた。

「あっ、いけねっ、帰らないと」

大輔が立ち上がり帰ろうとするのに対し

「待って、大輔君、折角だから、ウチでご飯食べてきなよ、お兄ちゃんの作るご飯って、とっても美味しいんだ」

笑顔で大輔を引き止めるタケル、それから大輔は家に電話して許可を貰い、タケルの兄ヤマトが作ったご飯を頂く事にした。確かにタケルの言う通りで、ヤマトの作るご飯は男が作った物にしては手が込んでおり、美味しかった。

 

「今日は、どうも、ありがとうございました。夕飯までご馳走になって、本当、ありがとうございました。」

大輔はそういって深く頭を下げる。

「おう、また来い、タケルの友達なら、いつでも歓迎だ」

「うん、またね、大輔君」

見送るヤマトとタケルに頭を下げ、タケルの家を後にする大輔

 

玄関の扉が閉まり、暫くしてから

「僕が血が飲みたいって言った理由分るでしょ?」

大輔が立ち去ってから、タケルが不意に兄を見ながら口を開く

「ああ・・・そうだな」

兄弟揃って好みが似ているらしく、ヤマトもあのドコと無く太一と似ている外見と性格を持つ、少年に対して、弟が血が飲みたいと言うのが分る気がした。

 

それから、大輔は宿題がある度にタケルの家に通い詰め、ヤマトの作る夕飯を食べて帰っていく事が日課になり、自分の作った物をウマイですっと言いながら元気に食べる大輔に、なんだか弟がもう一人出来た様な錯覚を覚えた。そして、タケルと大輔の中を羨ましく思いながら過していたある日

 

ヤマトが太一と仲直りし、その日が週末だった事もあり、太一が久しぶりに泊まりに来た日、その日はその場の流れもあり、太一が大好きな大輔も泊まる事になった。

 

「なあ、タケル?」

「ん?何、大輔君」

お客用に引かれた布団に寝ながら、大輔はベッドの上のタケルの方を見ながら声を掛ける。

「何かあったのか?」

「えっ?」

「いや・・お前とヤマトさん・・・なんか、真剣な顔してなんか話してるみたいだったから・・それに・お前・・時々」

「僕がどうかした?」

タケルから、少し視線を反らし、決まり悪そうな態度を取る大輔にタケルは暗くて見えないだろうが笑顔で答える。

「い・・いや、何でも無い」

大輔はそう言うと、タケルに背を向けて寝息を立て始める。大輔にはタケルの様子は分らないが、タケルは夜の活動を主としたヴァンパイヤの血を引いている者なので、夜目はかなり利き、暗闇の中でも日の光の下同様に見えてしまうのである。そんなタケルの視線は今大輔の首筋に行っている。

 

首筋に流れる大輔の血の脈動さえ聞こえてしまいそうな位、くっきりと大輔の首の中に流れる頚動脈が見えてしまう、タケルは眼の毒になると思い、慌てて大輔に背を向け、頭から布団を被り、なんとか血の誘惑を抑えようとするが

「ウ・・ウウ・・うっ・・うあっ」

今が夜だと言う事もあり、今日のは中々収まってくれず、これでは大輔が起きてしまうと思い声を抑えようとするが、抑え切れない呻き声が口から漏れてしまう

 

大輔はタケルが何かに苦しんでいるのを背中で聞いていた。大輔は実は起きていたのだ。本当ならすぐにでもタケルに大丈夫かと声を掛けたいのだが、生物としての本能が警報を鳴らしている。ここ数日の間にもタケルの家に遊びに来た時も何度か苦しんでいるのや、自分の事を普通では無い目で見ているのも知っていたが、タケルの事が心配だった。だが、それでも自分の内から来る本能が、それを抑えていた。

 

ガシャーーン

 

不意にリビングのガラスが割れる音が響き渡った。

 

後書き・とりあえず、後ニ話で終わる予定です。しかし・・・私のこう言った予定は狂ってしまう・・・日記も今日は後で書き足しますって言ったけど、書き足して無いし・・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、この場を借りてお詫びします。し、しかし、この予定は、なっ、なんとか頑張ってみます。それでは、ここまで付き合って下さった皆さん、ありがとうございます。後、二話で終わる予定ですが、これの本編であるヴァンパイヤ・ナイトが好評だったので、この作品を書くに到りました。皆さん、どうもご愛顧ありがとうございます。