ヴァンパイヤ・ブラッド・4

タケルに対し大輔が爆発し、数日が過ぎた。ある日の放課後

 

放課後になり大輔を追い掛ける事をしなくなったタケルは、クラスの女子や男子に話しかけられ、適当に相手をしてから頃合を見計らって切り上げて、帰ろうとしたら、下駄箱で大輔とバッタリ出会ってしまった。その日の放課後、大輔は、校庭で同じサッカークラブに所属する友達とサッカーをして遊んでたら、たまたまタケルと同じ時間になってしまった。タケルは思わず立ち止り大輔を見ると、大輔もタケルを見て、一瞬立ち止るが、先日の事もあり、決まり悪く、走り去るのも不自然と思い、大輔はタケルから目を反らすと歩いて、その場を去ろうとしたが、タケルもちょうど靴を履き終わった所だった為、大輔の数歩後ろをタケルが歩いている。

 

大輔、タケル、共に非常に罰の悪い空気が立ち込める中、家路を歩いていた。

 

(たっく、こいつとバッタリ会っちまうとは、ついてねえなぁ〜)

大輔は内心、そう思いながらも、普段とは違う、家路への空気に、居心地の悪さを感じ、苛々と自分の考えに没頭してしいた。

 

その時、突然

「大輔君、危ない!!」

タケルから、声が掛かった瞬間、我に返った大輔は、車のフロントライトが目に入った。だが、車とは別方向から、何かがぶつかってきた激しい衝撃に自分の体が宙に浮くのを感じると、誰かの両手が自分を包み、アスファルトの上を転がる感覚がした。

「いっててててぇ〜」

大輔が頭を押さえ、半身を起こすと、自分を抱き締める様にして、自分の下敷きになっているタケルが目に入った。

「おっ、おい!タケル!!」

大輔は慌ててタケルの上からどくと、タケルに声を掛ける。

「大輔君、怪我は無い?」

タケルは、半身を起こしながら大輔に答える。

「えっ・・あっ・・・ああ」

大輔はタケルに曖昧に頷くと、辺りをキョロキョロと見回すと、自分は今歩道の上にいる様だった。目の前に二車線道路の上で停車している乗用車、そしてその乗用車の窓から、慌てた顔でこちらを伺っていた中年の男性と若い20前後の青年が、降りて来る。

 

「君達だいじょうぶかい?どこか痛い所は?吐き気はするかい?」

青年の方が大輔とタケルに近付くと、二人の前に片膝を付け、体を前後左右からと様々な角度から見ながら、質問をしてくる。路上に座り込んだ大輔とタケルは、どこも痛く無いと答えるが、青年が大輔とタケルの前に左右の人差し指を目の前に突き出すと、二人に目で追わせたりして、二人の様子をジックリと見る。

「教授、ざっと見た限りですけど、二人とも大きな怪我は無いと思われます。」

青年は振り返ると、車から降りてきて自分の脇にいた中年の男性に話し掛ける。

「そうか、それは良かった。しかし、城戸君助かったよ、君みたいに医学の心得がある人が一緒で」

「いえいえ、僕は医学部をやめた身ですから、あんまり宛にしないで下さい」

青年は中年の男性に苦笑を浮かべながら答えると、

「君達、この近くの病院で検査を受けて置くと良いよ、僕の家族がやってる病院だからさ」

今度は大輔達の方に振り返って言う

 

「えっと、だいじょうぶですから・・・気にしないで下さい、タケルもだいじょうぶだろ?」

大輔が、そう言って立ち上がると、

「えっ、あっ、うん」

タケルは大輔に頷きながら答え、立ち上がろうと、右足を踏ん張り力を入れると、

「うっ・・・・・・」

タケルは、顔を歪めて、その場に跪いた。慌てて城戸と呼ばれた青年が、タケルに駆け寄り、

「こりゃ酷いな、すぐに病院に行った方が良いと思うな、ここじゃあ詳しい事は分らないけど」

明らかに腫れているタケルの右足首を見て言う

「分った。さあ、君達、車に乗りなさい」

こうして、大輔とタケルは、城戸と言う青年の家族が経営している病院に連れて行かれ、検査を受けた。タケルはヴァンパイヤとは言え、能力さえ解放しなければ、余程精密な検査でもしない限り、基本的に人間とそう変わらない身体構造をしているので、ちょっと骨格の頑丈な人間としか思われない為、問題は無かった。

 

タケルと大輔、二人は、共に検査を受けた。大輔は「自分は大丈夫だ」と言い張ったが、一応頭を打っている為、検査を受け、タケルも足以外の場所も一応検査された。タケルの足は捻挫だったが、暫くは腫れると言われ、二週間は運動をしないようにと言われた。検査が終わった後、二人とも、家族に連絡が行き、大輔の方は、姉と母親が迎えに来た。タケルの方は、家に両親が居ない為、兄が迎えに来た。

 

大輔の姉が、城戸と言われた青年に対して、しつこく携帯電話の番号や、好きな女性のタイプ等々を聞き、城戸と言われた青年は苦笑いを浮かべながら答えていた。車に乗っていた中年の男性は、実は大輔のサッカークラブの先輩に当たる竹之内空の父親で、大輔の母とは同じサッカークラブに通う子の親同士なので、一応顔見知りだったので、お互いに挨拶を交わし、世間話に花を咲かせていた。そんな姉と母を横目に、大輔は、タケルの隣に座り、タケルの兄の到着を待った。

 

「タケル・・・」

「何?大輔君」

タケルに笑顔を向けられて、大輔は一瞬戸惑った様子を見せるが、すぐに不機嫌そうな表情を顔に浮かべ

「なんで何も言わねえんだよ?」

怒りを宿した眼でタケルを見る。

「えっ・なんの事?・・・・大輔君・・何怒ってんの?」

「もう良い・・・・」

大輔は、不機嫌そうに言うと、立ち上がり自分の母親に「先に帰ってる」と言うと

まるでタケルから逃げるかの様に、病院から全力で駆け出した。

 

後書き・うおおおお、中途半端に区切って、すいません(土下座百万回)とりあえず、これもヴァンパイヤ・ナイトと同じ回数位で終わる予定です。それでは、失礼します。