ヴァンパイヤ・ブラッド・2
ヴァンパイヤの血がもたらす本能に支配されたタケルの牙が大輔の首筋に迫った。
キーンコーンカーンコーン
タケルの牙が、大輔の首筋に触れた瞬間
授業終りのチャイムが保健室内に木霊する。
授業終了のチャイムが教室内に木霊する。それと共に僕の本能に支配された理性が取り戻されていく、僕は、ハッ、となって、大輔君の首筋から顔を上げる。慌てて大輔君の顔を覗き込むと、大輔君も目覚めたらしく、僕の事を見ていた。
「だ、大輔君・・・目・覚めたんだね・・良かった」
突然の事に、動揺を隠せなかったけど、なんとか声を掛けることが出来た。
「あっ・・ああ、ってここ?・・・あれ?保健室?・・ど、どうして?」
ああ〜ん、どうなってんだぁ?確か体育の授業で、バスケやってて・・あっ!そうだ!俺とタケルが転倒して、気が着いたら保健室でタケルが目の前にいたんだ。そうだそうだ。って事は、俺は気絶してたって事か?
ヒカリちゃんの見てる前で、良い所見せる予定だったのにぃ、くそぉ〜
「大輔君、痛い所は無い?」
「えっ?いや、今の所は・・うん、まあ、少し頭がいてえかな?」
タケルに聞かれて、俺は頭がズキズキ痛むのを感じて、少し頭をさすってみると、デカイタンコブが出来てるのが分った。
「そら、いてえ訳だよな、こんなでけぇタンコブ出来てんだしよぉ〜」
「あっ・・・ゴ、ゴメンね」
タケルが俺に決まり悪そうに謝ってきた。
「ああ?何言ってんだ!こんなもん、良くある事じゃねえかよ、気にすんなよ、んじゃ、授業終わったんだし、教室戻ろうぜ」
俺はベットで寝てる自分が情けなくなって、起き上がろうとしたが、
「駄目だよ、大輔君、保健の先生が来るまで、ジッとしてなよ、僕が鞄は取ってきてあげるからさ」
そう言ってタケルに抑え付けられる。
こいつ・・・・見かけによらず、力強いんだな・・・
「わっ、わかったよ」
決まり悪くなって、俺はベットの上で大人しくする事にした。
少ししてタケルは戻ってきた。着替えとランドセルを受け取って俺は着替えると、もう帰りの時間なので、俺は帰る事にした。
だが・・・
「・・・どうしてお前がついてくんだよ!」
「僕は先生に大輔君を送るように頼まれてるし、僕のせいで大輔君が怪我したんだから、送っていくのは当たり前でしょ」
けっ、面白くねえぇ、よりによってタケルの奴が俺を家まで送るって言って、ついてくるしぃ〜、
「どうしたの?さっきから怒ってる様だけど、僕が気に障る事言った?」
「なんでもねえよ、とにかく家はすぐそこなんだから、もういいから、ついてくるなよ」
俺はそう言って、家までの道を全速力で走って帰る事にした。タケルを撒くために
さっきから、大輔君、なんだか怒ってるねぇ〜、あっ、僕の事置いて走り出しちゃったよ、
小学校五年生にしては早い方だね、あのスピードだったら、
でも・・・・甘いよ、
人間としては足の速い男の子位のレベルに能力をコントロールして、僕は走り出した。
「待ってよぉ〜、大輔君」
僕の数メートル先を走る大輔君の背中に僕は声を掛けるが、大輔君は振り向いてさえくれない、面白くないなぁ〜、しょうがない、もう少しスピードをあげてみよっかな、大輔君の背中に手が届く位置まで来て、僕が声を掛けると、さすがに僕が近くまで迫っているのに気付いたらしく、顔だけ動かして後ろに振り返ってくれる。
「なっ!タ、タケル、ついてくんなぁ〜!」
僕がすぐ後ろにいた事に余程驚いたらしく、大輔君は、両手を激しく振りながら叫ぶと、僕を振り切ろうと、スピードをあげるけど、もうこの距離だから、関係ないね、僕は大輔君の肩を後ろから掴む
「待ってよ、大輔君」
「離せぇ〜〜!」
暫く、そのまま大輔君は走り続けたが、やがて、堪忍したらしく立ち止る。
くそぉ、走るのだけは、同じ学年の奴には負けた事無かったのにぃ〜
こいつ何モンだよ、追いついてくるなんて、くそっ、
「分った。もう逃げねえから、手離せよ」
俺はいつまでも肩に掛かっているタケルの手を乱暴に払うと、タケルに背を向けて歩き出す。
「クスッ」
俺は、タケルが後ろで俺の事を笑った様な気がしたけど、もう相手にするだけ疲れるから、ほっといて早歩きで家に向う事にした。
「それじゃあ、帰ろうか大輔君」
「ああ」
タケルに対して不貞腐れて返事をして、俺はタケルと一緒に家に帰る事になった。
途中でダッシュした事もあってか、すぐに家には着いた。その間タケルは、ずっと、ニコニコして俺に話しかけて来たが、俺はこいつの作った様な笑顔が大嫌いなので、不貞腐れながら適当に相槌を打ってやった。
後書き・とりあえず、ヴァンパイヤブラッドの方の更新を始めようと思います。まあ、更新ペースは相変わらず亀並みですけど・・・そ、それでは、今日はこの辺りで後書きを終えたいと思います(逃げ逃げ)