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ヴァンパイヤ・ナイト

「みんな、転校生を紹介する。」

「石田ヤマトです。よろしくお願いします。」

今日、俺のクラスに転校生がやってきた。中二の二学期のこの時期にだ。そいつは、おそらく純粋な日本人じゃないんだろう、金髪の碧眼で自己紹介が終わった途端に、クラスの女子から、黄色い視線と声を集めている。

 

「じゃあ、石田の席はっと・・・おっ!八神の隣が空いてるな、よし、あそこに座りなさい」

「はい」

「あそこに座っている。クシャクシャの髪の奴が八神だ。分からない事は何でも聞くといい」

「先生それ失礼ですよ、しょうがないじゃないですか、癖毛なんですから〜」

担任に俺は悪態を返し、石田と呼ばれた転校生が俺を確認して、俺の隣の席に腰掛ける。

 

「石田ヤマトだよろしく」

転校生の石田は俺に握手を求めてくる。

「八神太一だ。よろしくな、サッカー部でレギャラーをやってる。分からない事はなんでも聞いてくれ」

俺は握手に応じて、手を握り返す。

「ありがと」

近くで見ると、この石田って奴、男なのに綺麗な顔してるな・・・って何考えてんだ俺!?

 

俺は隣の席の八神って言う奴に握手を求め、応じてくれた。基本的に良い奴そうで、安心した。しかし、さっき担任に髪がクシャクシャって言われた時のこいつの拗ねた様な顔は、なんか、可愛かったな・・・って何考えてんだ俺!?

 

俺はすぐに、この八神太一とは不思議と馬が合い、仲良くなれた。俺の家が両親が共働きで、家にいないのを知ってから、よく家に遊びに行ったり来たりした。それから一度、俺の家に泊まりに来てから、すぐに仲良くなれた。そして、俺の弟のタケルも良く懐いている。

 

もう、俺が転校してから、一ヶ月が経つ、早いもんだ。今はクラスメートとも、ある程度は仲良く出来ている。話し友達も数人出来たし、俺は、いつも人付き合いを選ぶ、なぜなら、人と付き合いは摩擦を生むからだ。多ければ多いほど、摩擦が生じる。可能性は増える。だから、俺はいつも人付き合いを最低限に抑える。だけど、今回だけは違った。

 

いつものように俺は血液製剤を飲んで家を出た。いい忘れたが、俺にはヴァンパイヤの血が混ざっている。俺の、祖父さんの、祖父さんの、そのまた祖父さん辺り、要するに遠い先祖が、ヴァンパイヤだったらしい、その為、俺の母さんはフランス人のハーフだが、母さんの家系の人間には、ごく稀に、ヴァンパイヤとしての血を色濃く受け継いでしまう人がいるらしい、そんな母さんの血が混ざっている俺に、突然ヴァンパイヤとしての血が色濃く遺伝したらしい、その為、俺は金髪の碧眼だ。日本で暮らすには目だってしょうがない、そして、今回そのヴァンパイヤの血のせいかは知らないが、俺はふと気付いたら、太一の血が飲みたくて仕方なくなる時がある。その気持ちに気付いてから俺は、先週くらいから、太一を避けるようになった。

 

俺が、太一を避けるようになり数日が経った。日差しの強い暑い日だった。俺は体に流れるヴァンパイヤの血のせいもあり、あまり強い日差しの中に長時間いると、体調を崩す場合があるので、今日は学校の授業が全て終わると、まっすぐ帰るのはやめ、校舎の裏で、少し、日が落ちるのを待つことにした。時間を潰す為、俺はちょっと曰くつきの本を取り出す。これは俺の母さんの家系で、ヴァンパイヤの血を色濃く受け継いだ人達が残した記録だ。俺とタケルが読み易いように、母さんが和訳してくれている。俺は本のページを開く、暫く本に夢中になっていたので、気付かなかった。後ろから近付いてくる気配に

 

「ヤマト」

不意に掛けられた声に、驚き振り返る。迂闊だった。本来こんなに人が、こんなに、近付くまで気付かなかった事は無かったのに

「太一!どっ、どうしたんだ」

「いや・・ヤマトが校舎の裏に行くのが見えたから・・あのさ・・ちょっといいか?」

「いっ、いいけど、ど、どうしたんだ、太一?」

「ヤマト・・俺の事・・・避けてないか?」

「いっ、いや、そんな事無いぜ」

俺は出来るだけ、早く、この場、いや、太一の前から立ち去りたくて、角の立たない答えを返す。

「そうか、ならいいんだ。じゃあさ、今度の土曜泊まりに行ってもいいか?」

すぐに、いつもの笑顔を取り戻し、俺の顔を覗き込んでくる。

「いっ、いや、今度の土曜は・・・」「どうかしたのか?」

曇りの無い瞳で覗き込んでくる。

やめろ・・俺を・・・そんな目で見るな・・・・飢えにも似た本能的な感情が・・・俺の意識を薄れさせる。

「うあああああああ」

俺は自分の体を包み込むようにして、その地面に膝をつける。

「おい!ヤマト、どうしたんだ?おい?持病でもあるのか!?どこか苦しいのか!?おい!!ヤマト!!」

逃げろ・太一・・・じゃないと・・・たいへんな・・ことに・・・なっちゃう・・・俺の・・こと・・なんか・・・ほっといて・・逃げてくれ・・・タノむカら・・・

俺の意識が本能と言う名の海の、奥深くに沈められていくのが分かる。

 

タノむ・・カラ・・にげて・・クレ・・タイ・・ち