星の光と星の闇・7

今日も堕天したデジモンを浄化し、家に帰って変身を解く、

今日の相手も成熟期のデジモンだったので楽に終わらせる事が出来た。

だが、横になろうとした時にデジバイスが光を発すると、オファニモンからの緊急を告げる連絡が入る。

 

「源輝二君・・聞こえますか?」

「どうした?オファニモン」

デジバイスを手に取り、画像に写るオファニモンに問い掛ける。

「たった今、人間の世界で強烈な負のエネルギーを探知しました。至急そちらに向ってください」

「なんだって?たった今浄化を終わらせたばかりなのに、まだいたって言うのか?」

突然の事に輝二も戸惑い、今日が週末の金曜日で明日は学校が休みな事に安堵する。

「分りません・・ただ・・・」

「ただ、なんだ?」

輝二はオファニモンが途中で言葉を区切ったので先を促す。

「闇の闘士の反応が消えました。・・・・」

「なんだって?・・・どういう事だ!?」

輝二は自分より数倍強い闇の闘士が消えたと言う事が気になった。それもただ知り合いが消えた位だったら、気にも止めないのだが、胸の奥になんとも言えない痛みのような物を感じていたが、今の状況では、その事を気にする余裕も無く

「今は・・分りません」

「分った・・・とりあえず、行ってみる」

 

「スピリットエヴォリューション」

輝二の体が白い光に包まれたかと思うと、いつものセーラー服姿へと変わっていた。

藍色のショートブーツを窓枠に掛けると、輝二は夜の闇が支配する町へと飛び出した。

 

デジバイスに写る画像を見ながら進むと、原生林を利用した広い公園の前に着くと、レーダー画面が突然切り替わり、そこで再びオファニモンからの通信が入ったが

「気を付けて下さい・・・今までの・・・者達・は・・・実力・・ちが・・」

「ん?・・・おいっ!・オファニモン!・・オファニモン!!」

画像にノイズが入ったかと思うと、それと同調するかの様にオファニモンの声も聞き取りにくくなり、輝二が呼びかけても、やがて声が聞こえなくなったかと思うと、画像にも何も写らなくなった。

「ちっ・・・行くしかないな」

輝二は軽く舌打ちをするが、すぐに気を引き締め、公園の中に入って行く、一見なんの変哲も無い普通の公園で、敵の気配はどこにも無く、レーダーで確認しても、先ほどまで反応があった筈の物が無くなっている。

「どういう事だ?・・・」

 

だが、次の瞬間、脇でガサッと音がしたかと思い、そちらに向き直ると、そこには黒い鎧に身を包んだ者が立っていた。背丈などは自分と全く同じ位だが、黒い仮面の下から覗く瞳には感情が感じられず、その者は自身の体の回りで黒い炎が燃えている様に目視で切る程の闇のエナジーを纏っていた。その者を見てから輝二は自分の体の中に冷たい物が走るのを感じ、白い手袋に包まれた手を知らず知らずの内に固く握り締めていた。

 

「何者だっ!」

「俺の名は闇の騎士・・・ダスクモン」

輝二の問い掛けに、ダスクモンは抑揚の無い声で静かに答えると、その身に纏っている闇を手に集め、闇が形を成し一本の漆黒の剣となる。輝二も負けずに光の剣を出現させ身構えた。

 

ガキンッ

気付くとダスクモンの剣が顔の、すぐ目の前に出現していた。輝二は咄嗟に剣で防御するが、ダスクモンの余りに早い踏み込みに、驚愕した。

矢継ぎ早に繰り出されるダスクモンの剣

キンッ、キンッ、ガキンッ!

防戦で手一杯だった輝二は、あっという間に剣を弾き飛ばされてしまった。輝二の剣が宙を舞い、ちょっと離れた所の地面に突き刺さる。

「しまった!」

「シネ・・・・」

輝二は剣から視線をダスクモンに戻すと、感情の無いダスクモンの視線が出会った。ダスクモンの感情の無い目がほんの僅かに揺らいだように見えたが・・

「ぐああっ!!」

ダスクモンの剣が輝二の右肩から斜めに入る。輝二のセーラー服が切り裂かれ、血に染まる。地面に仰向けに倒れる輝二、傷口を抑える白い手袋に包まれた手に血が滲む、痛みに顔を歪め輝二はダスクモンを見上げると、ダスクモンの感情の無かった黒瞳が揺れ、輝二と目が合うと、両手でコメカミを抑え唸り出した。

「ぐっ・・あああっ・・・コ・・・ゥ・ジ・・・・ああああああああぁ!!うおおおおおおおお!!」

ダスクモンは何かを振り払うかの様に大きく悲鳴の様な声を上げると、身に纏った闇を解き放つ

辺りの木々をエネルギーが揺らし、余りの衝撃に木々がへし折れる。輝二とダスクモンがいた場所には大きなクレーターが出来ており、そこには輝二の姿もダスクモンの姿も無く、何もかもが消滅していた。

 

「ネェネェ・・ポコモーン!」

尖った耳に赤系統の色のズボンを履いた。人間の子供の半分位しか身長の無い、大人しいというよりはマヌケな感じを受けるデジモンが、自分よりちょっと低い位置に居る腹巻を巻いた白いデジモンに声を掛ける。

「なんじゃ?ハラ」

「これなぁ〜に?」

小高い丘の上から何かを指差し、ポコモンに訪ねるネーモン

「一体何があったハラ?」

ポコモンはネーモンより低い位置にいた為、ネーモンのいる所まで走って丘を登り、ネーモンの傍に立つと

 

「これは!・・・・もしや!」

「ネェネェ、なんなの?これって」

「これは人間の子供じゃぞぃ!」

ポコモンは、セーラー服を着て胸から血を流して、うつむけに倒れている輝二の傍に歩み寄る。

「ん?・・・どうやら怪我をしてるようじゃぞぃ・・・ウチまで運ぶぞぃ」

「ええ〜〜、助けても平気?」

ネーモンは相変わらずボケェ〜っとした様子で訪ねるが、どうやら臆病なようだ。

「ああ、大丈夫じゃぞい、人間の子供は綺麗な心を持つと聞いたからな・・・うんしょっと」

「そっか・・んじゃ、大丈夫だね」

輝二を運ぼうとするポコモンをボーっと見ながら答える。ネーモン

「ボケッとしてないで手伝うハラ!!」

「あっ、ゴメンゴメン」

二人は苦労して、なんとか輝二を自分達の住む家に運ぶ