星の光と星の闇・17
輝二は村の外れの森の中で迷っていた。思わず相手に感情をぶつけて、相手のいる部屋から飛び出してきてしまった。今更、戻るに戻れず、どうするどうすると悩んでみても答えなんて出るはずもなく・・途方に暮れて、どれだけの時間が経っただろうか・・・
ガサ
悩んでばかりいて周りが見えなくなっていた輝二は、相手の気配に全く気づく事ができなかった。森の中にある薮の葉音に咄嗟にそちらを向くと、自分と同じ顔をしている相手と目があった。
「輝二」
「こう・・・いち」
お互いに相手の名前を呼び、目線が重なる。
「クッ・・・」
居心地に悪さから、咄嗟に輝二は相手に背を向けると、走り出した。
「待って!輝二!」
背中に声をかけられるが、無視して数歩走り出した所で
「ううっ・・・」
相手の苦しげな声が聞こえたので振り返ると、輝一が苦痛に顔を歪め、片膝をついた状態で胸の包帯に右手を当てているのが目に入った。思わず立ち止まり、相手をよく見ると、下は普段通りの黒いズボンだが、上半身は包帯を巻いただけの状態で、着の身着のままで自分を追いかけてきたと思われる。
「お、おい!大丈夫か?」
考えるよりも体が動いていた。相手のそばに戻り、輝一の肩に手を置こうとした瞬間、右の手首を掴まれた。
「輝二・・捕まえた。」
輝一は輝二を見上げながら、ニコリと笑みを浮かべ、素早く逃げられないように抱き寄せる。
「おっ・・おいっ!」
気付いた時には輝二は片膝立ちの輝一の両手の中に収められるように抱きしめられていた。輝二は相手に対し、何か不満を言おうとしたが、輝一の顔を見て言えなくなった。
「輝二・・・今まで傷つけてごめんっ・・・俺・・・これから絶対、輝二の事を守るから・・・本当にごめん」
目に涙を浮かべて言う輝一に、輝二は何も言えず、頬を赤らめるだけだった。輝一は輝二の先ほどから掴んだままだった右手首を解放し、左手を輝二の白い手袋に包まれた左手に絡ませるように握り締めた。
次の瞬間には輝一の瞳が自分の顔のすぐ目の前にあった。
「おっ・・・おいっ」
輝二が何か言うよりも輝一の行動の方が早かった。次の瞬間には輝一の唇と輝二の唇は重なっていた。
「んっ・・・んんっ!」
輝二は自分の中から僅かずつだが、輝一の中に光のエナジーが吸収されていくのが分かった。それと同時に自分の中から力が抜けていくのが分かる。それでも輝二は抵抗ができなかった。自分の中から吸い出される光のエナジーが、輝一の中の弱りかけた闇のエナジーを強くしていくのが感じられたから・・・
角度を変えて激しくなってくる口づけを輝二は受け止め、輝二はそっと両目を閉じた・・・
あとがき・はい、実に1年ぶり位に更新しました。本当に楽しみにしていた方(管理人は楽しみにしている人がと信じている)本当にすいませんでした。この作品については、いい加減に終わらせないと、プロット表を見返している所です。そしてなんだ・・・この終わり方は・・・