二人だけの戦争・2
(殺したくないから、抵抗は辞めろだと、人の事を撃っておいて良く言う)
アスランは内心毒づくと、自分に銃口を向けている少年を睨みつける。
「両手を挙げて、手を後ろで組んで、頼む・・・僕に君を撃たせないでくれ」
キラは再度相手に警告を与えるが、相手は一考に敵意を治める気配が無く、キラの警告に従う気配は無かった。僅かな数秒だがお互いに手が出せない状態が続く、その時、すぐソバで鳥の羽音がした。不覚にもキラは一瞬だけ、そちらに注意を向けてしまった。その隙をアスランは見逃さなかった。すぐさま持てる瞬発力を全て使い、崖の上を目指し跳躍する。
「ハッ!」
キラはアスランに注意を向けなおして、慌てて相手に向かって発砲するが、相手が余りにも素早く動いている為、弾は全部外れて、相手は崖の上に逃げてしまった。
「クソッ」
慌ててキラは拳銃に弾をこめなおすと、すぐに相手のカバンと銃が落ちている場所に戻り、相手の落としたカバンから出ている銃を拾い上げる。
キラが拾った銃に気を取られていたら、相手が背後から飛び出してきた。
今拾った相手から奪った銃を相手に向けようとするが、空中にいる相手がキラの手を蹴り、キラは銃を落としてしまう。
慌てて利き腕に持っているもうきら片方の銃を向け、相手を一瞬、標準内に捕らえるが、急所を外そうと狙いを僅かに狙いをずらした事で引き金を引くのが遅れた。
その隙に相手はキラの手首を掴み投げを放った。
「うあっ」
地面に投げつけられるが、幸い拳銃は手放さなかった。慌てて相手の位置を確認して銃を向けようとするが、相手はもう銃よりもナイフの方が有利な接近戦の間合いに入っており、更にあっという間に地面に寝転がっているキラの上に跨る形をとられてしまった。アスランはキラの拳銃を持っている方の手首を地面に叩きつけると、すぐに手首を足で踏みつけ拳銃を手から離させる事に成功する。アスランはキラの手から落ちた拳銃を遠くに放り投げ、キラの拳銃を持っていた方の手は足でそのまま押さえつけ、もう片方の手は左手でキラの頭の上で押さえつけ、ナイフを持った右手をキラの首筋に持って行きナイフを突きつける。
「今、俺の事を撃つ事が出来たのに何故撃たなかった?」
アスランは上からキラを覗き込みながら問い詰める。
「君にだって家族がいる・・・僕は・・・誰にも死んで欲しくないんだ。」
下から真っ直ぐに視線をぶつけてくる相手から発せられた言葉に、アスランは目を見開く、相手を顔や声の調子を聞く限り、嘘は言っていないように思われたが、とりあえず、相手の情報を聞き出す事にした。
「お前・・・本当に地球軍か?」
「なっ!・・・僕は地球軍じゃない」
(そういえば僕は地球軍の戦闘機を奪って、それに乗っていたんだった)
「じゃあ、どうして地球軍の機体に乗っていた?」
「うっ・・そ、それは・・・」
相手からさすがにこの状況で地球軍じゃないっという言い逃れは苦しすぎた。理由を説明しようにもゲリラとはいえ、地球軍から兵器を奪取してザフトや地球軍と戦う戦力を整えるなんて作戦の事を全て話すわけにはいかない、
「とりあえず、お前は本当に地球軍じゃないんだな?」
「だからそうだって言ってるだろ!」
「分かった。全部を信じるわけには行かないけど、とりあえず、今の所は命は保障する」
相手はキラの首筋からナイフを離し、キラの上から退くが
「だが、全くの戦闘能力がない民間人っという訳でもなさそうだから、悪いが身柄は拘束させて貰うぞ」
「えっ・・・」
そういうと相手はキラの腕をひねり上げて
「痛いっ!」
仰向けに寝ていたキラをうつ伏せにする。
「こら抵抗するな」
相手はキラの腕を片手でひねり上げて、キラの腰の辺りに膝を乗せて、空いてる方の手を伸ばして
ちょっと離れた所にある先ほど自分が落としたカバンを取ると、中からワイヤーを取り出してキラの両手を後ろ手に縛りつける。
あとがき・久しぶりの更新な為、これ位の短い文の方が読みやすいかと思い、書き手も割と集中して書ける内容なので楽です。昔はもっと長い話を一気に書き上げたりできたのですが、なにせ久しぶりに連載する予定の話なので、これ位の内容で小まめな更新を目指したいと思います。