終わった後に始まった事

「終わったんだな」

「ああ」

太一の言った事に答えるヤマト、それ以外のメンバーは黙って頷いて答える。

太一達の冒険は終わった。あの世界での役割を果たし、彼らの役目は終わった。それを確認するかのように言った太一の言葉に皆が頷くのを見た途端、太一は膝から崩れ落ち、その場に倒れた。

「太一!」

ヤマトが驚愕の声を上げ、倒れた太一の周囲を仲間が囲む

 

その後、丈の兄、シンの計らいもあり、近くの病院に運ばれ、子供達は家に帰された。

 

「過労?あの太一が」

「はい、なんだか、肉体的にも精神的にも過度の物が蓄積してたらしく、それが原因だから明日には退院できるらしいです。でも家で二、三日安静にしてなさいって事です。」

ヒカリから、電話を貰い太一の様子を知る事が出来たヤマト、だが、府に落ちない点がある。あの元気だけがとり得みていな人物の太一が過労、それも精神的な物と肉体的な物、暫し考えに耽ると、おのずと答えは出た。太一がいつもみんなの先頭に立って進んでいた事に、太一がいつも己の身をかえりみずに、仲間の心配を第一にしていた事に、太一がいつも一番危険なポジションにいた事に、そして、そんな折に自分がした事に・・・・

 

ヤマトはいても立ってもいられなくなり、味噌汁の火を止めると、出掛ける事にした。そして、街の通りを途中まで歩いたが、今すぐに太一に会いたい・・・・会って・・・・キチンと謝りたいと思い、駆け出した。

 

息を切らし、肩を揺らしながら、ヤマトはヒカリから聞いた太一の入院先の病院の前に立っていた。騒がしい病院の受付を通りぬけ、聞いていた部屋、507号室に行くべく、エレベーターを待とうとするが、時間が惜しくなり、階段で5階まで駆け上ると、病室の扉をノックする。

「ん?・・どうぞ」

中からはすっかり耳に染み付いた聞きなれた声がした。

 

「ヤマト?・・・どうしてここに?」

太一は、窓際に立ち首だけ振り返りながら扉の方を見て、意外な来訪者に疑問符を浮かべる。

「いや・・お前が倒れたって聞いて・・その・・見舞いに・・・来たんだ」

ヤマトは冒険の時に自分のやった事が負い目となり、視線を下げ口を開く

「そうか、まあ、座れよ」

太一に椅子を進められるが

 

(違う、本当に言いたかったのは、こんな事じゃない、ただ・・・謝りたいのに)

「ヤマト?・・・どうしたんだ?」

ボーっと考えに耽っていたヤマトの顔を気が付くと太一が覗き込んでいた。

「どうしたんだ?はお前だろ!!どうして?どうして?そんなになるまで黙ってたんだよ!俺達は仲間じゃなかったのか?それなのに・・・・どうして?一言も辛いって言ってくれなかったんだ!?俺達を頼ってくれなかったんだ!!」

太一の顔が急に目の前にあった事と自分の感情を言い出せない自分の不甲斐なさにイラついてしまい、太一に激しい感情をぶつけてしまった。

 

「はっ!」

ヤマトは突然はっとするが、時すでに遅し、言ってしまった言葉は口には戻らない

「そっか・・ゴメン」

太一は一言俯きながら口にする。

「あ・・・その・・・」

ヤマトは、言葉に詰まるが、もうどうにでもなれと思い、太一の手を引くとをギュッと抱き締めた。

「ヤッ!ヤマト!!」

「謝るなよ、本当は俺の方が謝りたいんだからな」

太一の耳元でそっと囁くと、肩にもたれかかっていた太一が顔を浮かせる。

「お前に迷惑掛けてばっかで、それに気付かないで、お前を傷つけてばっかで・・・本当に・・・ゴメン」

「そんな事、ヤマトが気にするなよ・・・仲間なんだから、助けるのが当たり前だろ」

「じゃあ、お前もこれから、俺の事、俺達の事、頼ってくれよ」

ヤマトが、そう言った時には、太一はヤマトの肩で気持ち良さそうに寝息を立てて眠りについていた。

 

「太一?」

太一の名を呼ぶが、返事は無い、どうやら、本当に肉体的にも精神的にも疲れが堪っていたようだ。ヤマトはもたれかかって来る太一をベットに寝かせ、布団を掛けてやる。太一の安らかな寝顔をジックリと見ると、ヤマトは吸い込まれるように太一の唇に自分のを重ねた。触れるだけのキスをした瞬間にヤマトは我に返る。

 

(今俺がした事って・・・・)

ヤマトは自分の唇を指で触る。まだ、太一の唇の感触が残っている。

そして、目の前の太一の顔を見ると、動悸がドンドン加速して行くのが分る。

恥ずかしさの余りヤマトは顔を真っ赤にすると、病院を駆け出した。

 

 

後書き、8/1日記念小説、アップした時間遅すぎという噂が・・ゲフッ、ま、まあ、この事については突っ込まないで下さいませ、あ、ちなみにですね、この話のあらは私が考えて、高波注意報の氷室さんと絵チャやった時にチャットリレー小説をやった時に使ったネタだったりもします。ま、まあ、多少のアレンジはしてしまいました。内容が不鮮明なうろ覚え程度だったんです。申し訳ありません氷室さん(><)、しかし、ああああぁ〜〜〜(病気発病中)小学生ヤマ太ええなぁ〜〜、もう最高やわぁ〜って感じですね